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ペットボトル デザインリニューアルについて

パッケージ制作担当のykです。

今回は大阪の某大手飲料メーカー様よりご依頼を頂いた、「お茶」のPETボトルデザインリニューアルの案件をとおして、リニューアル時に於ける制作過程の概要をお伝えします。

●リニューアルの必要性

どのような商品も時間の経過・状況の変化に伴ってリニューアルを意識せざるを得なくなる時が訪れます。

そこには機能的な変更/改良、ブランドイメージの転換など、種々な要因が考えられますが、その商品が現状どのような状況に置かれているのかによって、取り組むべきデザインの方向性も変わってきます

例えば・・・・・・・・・

単純にその商品に新しい付加価値が加えられ、それらを訴求するための改良なのか。
あるいは、デザインの陳腐化によるブランドそのものの鮮度の低下回復、取り扱い率の向上を目指しているのか。
さらには、このままのデザインでは市場での優位性を期待できないないという判断の元、全面的にデザインを刷新し、まったく新しい商品として再出発を図ろう、という状況なのか、等々…。 

●課題と方向性

今回の場合「さらに飲みやすくなったテイスト!より一層手軽に血圧対策に取り組めるようになりました。」という”恵まれた”ケースです。

従って、勢いを失ってしまった…、コンセプトが古くなった…、などという消極的要因よる刷新ではなく、あくまで「攻めの姿勢」で、すでに愛飲されているユーザーに対しての再活性化とリニューアルによる期待感の創出、加えてこれまで手に取って貰えなかった新規顧客の誘因を目的としています。

pet_02.jpgのサムネイル画像のサムネイル画像

従来パッケージ (左:初回発売時) (右:第1回リニューアル時)

また、発売から数年を経た本商品のような場合には、ライフサイクルとも言うべき、いわばその誕生から、今どの段階に来ているのか?を把握する必要もあります。

今回の場合、市場への投入の時期を経て→成熟期に向けての過渡的状況にある、と捉え、単純に内容を認知させる表現から → 機能性飲料市場に於ける、差別化ポイントの表現をより強化したものへの転換、今後向かうであろう成熟期に向けてアイデンティティーを確立するためにデザインの見直しを図ります。

●具体的な取り組み

(前置きが長くなりましたが…)

本商品は「トクホ飲料」であり、その特化した機能により、体質改善の効果を保証された飲料であるので、今回その点をより明解にアピールします。

デスクに座ったまま、手間隙かけず飲み続けるだけで、血圧対策ができること。

まずはこの一点を視覚化することで、便益が一目でわかるようなデザインとしました。

pet_04.jpg


  (提案初期段階の傍流デザイン案)特に今回のような「機能性飲料」に求められるな視覚効果とは、この商品によって得られるサクセスストーリーを端的に想起させることです。

 ランチを少し食べ過ぎたかな? → かといって帰りにジムに寄る余裕もないし…。→
 このお茶を飲む(場所や時間の制約を受けず手軽に)→ 気になる血圧の値をケアできる!

そのために今回新たに加えたのが、赤いサークルを中心とした各要素です。
 ○スムーズな血流の象徴としての赤いサークル。
 ○デスクでリラックスした状態で飲んでいる姿をイラスト化。
 ○時計のように矢印がくるりと一回転することによって時間の流れを表し「1日1本」の摂取目安をイメージさせる。

以上の追加要素を簡潔にまとめたマーク化の検討を重ね、端的に効果/効能をイメージできる新たなシンボルとして追加しました。

pet_03.jpg

 (決定案 追加シンボル 拡大)

但し、従来愛飲者への配慮として、これまでのデザインとの親和性が保たれていることは必須です。その為、継承するところと変えていくところは慎重に吟味します。(この点がリニューアルの難しさではありますが…)

今回、茶葉のイラスト、赤・白を基調とした背景など、従来デザインの継承によって、ユーザーに対する変わらない安心感、信頼感を与え、これまで培ってきた品質感を損ねないよう配慮します。

また機能性飲料であると同時に、渇きを潤す「お茶飲料」としてのアピールも重要です。
そこには清涼感、親しみやすさなどのフレーズを感じさせる手法が必要となってきますが、今回は前回より下部の透明部の面積をさらに増やすことにより、中身の露出を図り、軽快な印象を与えることで、その点を補ってなっています。

pet_01.jpg

●ロングセラーを目指して

このように、既存の要素&新たな要素、それぞれの必要性と役割を十分に咀嚼し、限られたスペースの中で、一つ一つがその強さを発揮しながら、且つ反発し合わずに一体感が保たれている。その為の優先順位の再構築が重要となってきます。

また、要素が多いからということで、紋切り型の構成に陥ってしまい、新味の無いデザインになってしまうことも避けないといけません。

リニューアルとは以上の様にさまざまな課題が生じてくるものですが、新しい顔を持たせることとブランド資産を保ち続けること、この相反する二つの性質のものを、優れたデザインによって最良の形で融和させ、さらなる「ロングセラー」への橋渡しに貢献してゆけることは、デザイナーにとっても制作の醍醐味の一つであり、やりがいを感じるところでもあります。


ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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