2024.08.20
動画制作の流れ(フロー)とは?各工程の手順やポイントを解説
スマートフォンやタブレットが普及し、通信環境も整ったことから、動画がより身近な存在となりました。そのため、商品・サービスのプロモーションや自社のブランディング、採用活動などのさまざまなシーンで動画を活用する企業が増えています。
しかし、漠然と動画を活用したいと考えてはいるものの、そもそも動画制作がどのように進行するのかイメージできないという方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、映像制作会社の視点から、動画制作の流れ(フロー)についてご紹介します。各工程の手順やポイントも解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
動画制作は何からはじめる?
はじめに、動画制作は何から始めるべきなのかについて解説します。
動画コンテンツの制作は、文章だけの記事やバナー画像などと比べると、撮影や編集などに労力を要します。そのため、即席で動画制作を開始することは現実的ではありません。動画制作で失敗しないためには、まず次の4つを決めましょう。
- 動画制作の目的
- 予算とスケジュール
- 動画のイメージ
- 動画制作の依頼先
各項目について詳しく解説していきます。
動画制作の目的を決める
動画制作をスムーズに進めるためには、動画を制作する目的を明確にしなければなりません。動画コンテンツの活用場面は認知度の向上や製品プロモーション、採用活動、教育・トレーニングの実施など多岐にわたりますが、目的が異なれば伝えるべき情報も異なります。
たとえば、「会社紹介動画」を作る場合でも、その目的(用途)によって伝えるべき情報は次のように変わります。
目的(用途) | ターゲット | 伝えるべき情報 |
---|---|---|
ブランディング | 一般消費者 | 会社の信頼性・ブランド価値観・サービス品質 など |
採用 | 求職者 | 企業文化・仕事環境・福利厚生 など |
IR | 投資家 | 成長戦略・経営基盤・ビジョン など |
動画コンテンツに含めるべき要素をはっきりさせ、制作工程をスムーズに進めるためにも、動画制作の目的を最初に決めておきましょう。
予算とスケジュールを決める
動画コンテンツに使用できる撮影技術・編集技術は数多く、こだわろうと思えばさまざまな技術を活用できます。しかし、使用する技術が増えれば増えるほど、必要な予算が増えることも忘れてはいけません。また、複雑な技術を使用する動画は、それだけ制作期間も長くなります。
企業活動の一環として動画を制作するのであれば、予算とスケジュールもあらかじめ決めておきましょう。予算内で動画クオリティを最大化するためのアイデアは、企業用の動画コンテンツ制作に慣れている映像制作会社に相談することをおすすめします。
動画のイメージを決める
映像と音声を組み合わせたコンテンツである動画の表現方法は、多岐にわたります。「ブランディング目的の会社紹介動画」を作る場合でも、信頼感のある重厚なイメージにするのか、親近感を与えやすい明るいイメージにするのかなど、視聴者に与える印象を決めなければなりません。
また、実写とアニメーションのどちらを活用するかによっても、動画のイメージは変わります。実写であればリアリティや信頼感を伝えやすいですし、アニメーションは創造性や独特の世界観を伝えるときに役立つでしょう。
動画制作の目的を達成するためには、視聴者にどのような印象を持ってもらいたいかを考慮しながら、動画のイメージを決めることが重要です。
動画制作の依頼先を決める
無料の編集ソフトを使用し、動画を自社で制作することも選択肢の一つですが、クオリティ面を考慮すると、プロの映像制作会社に依頼することをおすすめします。
また、ここまで紹介したとおり、企業活動に役立つ動画コンテンツを作るためには、考慮すべき要素が数多く存在します。動画制作に初めて取り組むのであれば、経験豊富な映像制作会社に協力を求めると安心です。
とはいえ、映像制作会社によって対応している編集技術や撮影技術はそれぞれ。動画マーケティングへの知見がどれくらいあるのかも、映像制作会社によって異なります。ホームページに掲載されている実績を見て、想像しているイメージの動画を実現する技術があるかどうかを確認してみてください。
JPCでは、ロケ撮影やドローン撮影などの撮影や、モーショングラフィックス、3DCG、VFXなどの編集技術にも対応。豊富な技術を駆使しながら、動画で幅広い表現を実現します。
実写動画制作の流れとスケジュール
ここからは、映像制作会社に「実写動画」の制作を依頼したときの流れとスケジュールについて紹介します。
- 企画・構成
- 絵コンテ
- 撮影準備
- 撮影・素材集め
- 動画編集
- MA・ナレーション収録
- 最終調整・納品
それぞれの工程でどのような作業が行われるかも紹介しますので、動画制作の全体像をイメージしてみてください。
1.企画・構成
企画・構成工程では動画制作の目的を定義し、映像制作会社はヒアリング内容から視聴ターゲットや動画活用場面にマッチした動画構成をプランニングしていきます。
テレビCMやYouTube、各種SNSなど、掲載媒体によって効果的な動画構成も異なるため、掲載を希望する媒体なども含め、映像制作会社に相談しましょう。
映像イメージや構成を企画書にまとめる期間としては、1週間〜2週間程度が一般的です。
2.絵コンテ
企画書をもとに絵コンテ・台本(シナリオ)を制作していきます。絵コンテと台本は別々に作られることもあれば、併記されることもあります。
絵コンテによって映像制作会社と発注者で具体的な動画イメージを共有できれば、後工程での認識の齟齬を防げます。絵コンテは初稿で完成するものではなく、あくまでもブラッシュアップしていくものであるため、もしイメージと違う部分があれば、遠慮せずに伝えるようにしましょう。ただし修正時は、当初決めた動画制作の目的から離れないよう注意してください。
絵コンテの制作〜確定にかかる期間は、おおむね1週間〜2週間程度です。
3.撮影準備
絵コンテで動画のイメージが固まれば、撮影準備を進めていきます。ここでいう準備とはロケハン、撮影機材の確保、キャスティング、演者やナレーターオーディション、撮影スケジュール調整などです。
ロケハン
ロケーション・ハンティングの略。撮影現場を下見すること。
ロケハンには映像制作会社のディレクターやカメラマンはもちろん、発注者側(クライアント)の担当者が同行することもあります。とくに会社紹介動画で自社設備を撮影する際などは、社内調整に時間がかかることもあるのでスケジュールには余裕を持たせておきましょう。
撮影機材の確保については、映像制作会社に一任することになります。そのため、どういった映像を撮影してほしいのかを事前に伝えておくことが重要に。
たとえば、ドローンを使用した撮影などはパイロットの確保やフライトの申請が必要になるため、撮影当日に急遽組み入れるのは難しいことがほとんどです。ドローンを使用した映像を動画に取り入れたい場合などは、絵コンテの段階で空撮の有無を確定させておきましょう。
4.撮影・素材集め
撮影は基本的に1日で行われることが多いですが、撮影場所が複数ある場合や、撮影対象のスケジュールによっては複数日に分けられることもあります。実写動画を撮り直すとなると追加費用がかかりますから、撮影当日は発注者側の責任者が同席し、撮影素材を確認しながら進めるとよいでしょう。
撮影とあわせて、動画コンテンツで使用する素材も集めておきます。素材集めについては制作会社に一任することが多いですが、過去の撮影素材・会社のロゴマークなどは発注側が提供する必要があるため、準備しておきましょう。
5.動画編集
撮影が終わり、素材が揃ったらいよいよ動画編集です。編集にかかる期間としては、2週間以上は見込んでおきましょう。
絵コンテに沿ってカットを繋ぎ、モーショングラフィックスや3DCG・VFX、動画エフェクトなどを加えていきます。字幕テロップやBGMなども、このタイミングで挿入するケースが多いです。(ナレーションにあわせて動画カットを編集することもあり、その場合は次工程のナレーションが先行して収録されることもあります)
主な編集技術の名称と意味
モーショングラフィックス:ロゴや文字などのグラフィックスに動きをつけるアニメーションの一種。
3DCG:3次元空間(3D)に物体を描画する技術。
VFX:Visual Effectsの略。実写映像にコンピュータで演出効果を加える技術。
「試写」として、このタイミングまでに編集した映像を発注者側と映像制作会社で確認することもあります。動画全体のイメージが企画書・絵コンテどおりになっているかをチェックし、フィードバックがあれば調整を行います。
6.MA・ナレーション収録
映像の内容が固まったら、MA(Multi Audio)工程に進みます。
MA
Multi Audioの略。ノイズを除去したりナレーション・効果音を加えたりして音声部分を調整すること。
ナレーションについては専用スタジオで収録することもあれば、ファストレコーディング(宅録)を利用することもあります。費用を抑えたい場合は宅録の活用がおすすめです。
7.最終調整・納品
映像・音声ともに編集が完了したら、いよいよ動画コンテンツは完成です。軽微な修正であれば、納品前に最終調整を行います。
納品方法はデータ納品(mp4)やDVD納品などさまざまです。DVDやBlu-ray納品はオプション費用がかかることもあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
アニメーション動画制作の流れとスケジュール
つづいて、「アニメーション動画」を制作する流れとスケジュールを紹介します。
- 企画・構成
- アニメーション素材・イラスト制作
- アニメーション編集
- MA・ナレーション収録
- 最終調整・納品
実写動画と同じ部分もあれば、アニメーション動画ならではの工程も存在します。詳しく見ていきましょう。
1.企画・構成
アニメーション動画を制作するときも、まずは企画・構成工程で目的やターゲットを定義していきます。
また、アニメーションにはいくつか種類があるため、どのようなイメージのアニメを希望するかも決めておきましょう。「スライドショー」のような簡単なアニメーションであれば比較的安価ですが、「フレームバイフレーム」「3DCGアニメーション」などは高度な技術が必要となるため、費用が高くなりやすいです。
フレームバイフレーム
キャラクターを1コマずつ動かすアニメーション。一般的な「アニメ番組」で放映されているのは、フレームバイフレームで作られたコンテンツであることが多い。
また、アニメーション動画を作るときは、企画段階でキャラクター制作の有無を決めます。オリジナルキャラクターを制作するとそのぶん費用はかかりますが、より視聴者の印象に残りやすい動画になります。
動画の目的や使用するアニメーション手法、キャラクター制作の有無が決まれば企画書を作成し、動画のイメージを絵コンテに落とし込みます。ここまでにかかる期間は1週間~2週間程度を見込んでおきましょう。
2.アニメーション素材・イラスト制作
絵コンテ・シナリオが確定したら、アニメーション素材・イラスト制作がスタートします。主に下記の素材を発注者側が確認し、コンセプトやイメージとの齟齬がないかをチェックします。
- 背景
- キャラクター
- 実際のシーンイメージ
もしイメージと違う部分があれば、遠慮せずに希望を伝えましょう。仮に制作が進んでから「キャラクターの口がイメージと違ったから変えてほしい」と希望しても、すべてのカットを描き直す必要があるため、基本的には変更できないことが多いです。
修正が少なければ1週間程度、修正が発生するのであれば2週間程度で次の工程へ進みます。
3.アニメーション編集
イラストのイメージが固まったら、いよいよアニメーション編集の工程に進みます。
制作したイラストをコンピュータでつなぎ、動きをつけていきます。アニメーション動画のクオリティを左右する工程であり、高度な技術も必要となるため、編集期間は2週間以上は見込んでおきましょう。
アニメーションが完成した段階で「試写」として初稿をチェックすることもあります。軽微な修正であれば、このタイミングで調整してもらいましょう。
4.MA・ナレーション収録
アニメーション完成後、MA・ナレーション収録が実施されます。キャラクターの台詞を吹き込む場合は、スタジオで収録することがほとんど。スタジオ収録の場合は発注者側の担当者が立ち会い、その場で修正を繰り返しながら完成を目指します。
5.最終調整・納品
音声を挿入したら、アニメーション動画は完成です。一般的なmp4形式でデータ納品されるのであれば、公開は自社対応でもいいでしょう。
動画制作を成功させる4つのポイント
ここまで実写動画・アニメーション動画の制作フローについて紹介してきました。撮影の有無などによって若干の差異はありますが、基本的な制作工程に変わりはありません。ここからは、動画制作を成功させるために押さえておきたい4つのポイントをご紹介します。
- 視聴ターゲットを明確にする
- 1つの動画にメッセージを詰め込みすぎない
- 実績豊富な映像制作会社に依頼する
- 手戻り・撮影後の修正が発生しないよう注意する
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
1.視聴ターゲットを明確にする
動画制作を成功させるためにもっとも重要なポイントは、視聴ターゲットを明確にすることです。記事冒頭で紹介したとおり、ターゲットが異なれば伝えるべき情報は異なります。
目的(用途) | ターゲット | 伝えるべき情報 |
---|---|---|
ブランディング | 一般消費者 | 会社の信頼性・ブランド価値観・サービス品質 など |
採用 | 求職者 | 企業文化・仕事環境・福利厚生 など |
IR | 投資家 | 成長戦略・経営基盤・ビジョン など |
動画制作の目的を意識することは多いですが、制作途中にターゲットがぶれてしまうことも少なくありません。成果の出る動画を制作するためには、どのターゲットに向けた動画なのかを常に意識しておきましょう。
2.一つの動画にメッセージを詰め込みすぎない
視聴ターゲットを意識すると、伝えたい情報がたくさん出てくるかもしれません。しかし、一つの動画に情報を詰め込みすぎると、視聴者は何の情報が重要なのかがわからなくなってしまい、何の印象にも残らない動画になってしまう可能性も。動画に込めるメッセージは30秒動画なら1つ〜2つ、60秒以上の動画なら3つ程度に収めた方がいいでしょう。
たとえば「商品紹介」を目的とするケースであれば、紹介する商品は1つに絞りましょう。関連商品も視聴者に役立つからといっていくつも紹介すると、情報が多すぎて視聴者が一つも覚えられないかもしれません。
もし伝えたいテーマが複数ある場合は、テーマごとに動画を用意することをおすすめします。そのぶん費用はかかりますが、一日にまとめて撮影を行うことで、動画1本あたりにかかる制作コストを抑えることができます。
また、映像と音を同時に収録できる「同録スタジオ」などを自社で保有しており、まとめ撮り対応している映像制作会社であれば、収録にかかる費用や手間を削減できます。
3.実績豊富な映像制作会社に依頼する
スマートフォンの撮影機能が向上し、無料で映像を編集できるソフトなどもある昨今では、費用を抑えるために自社内で映像を制作することもあるでしょう。しかし、ここまで紹介したとおり動画制作に必要な工程は多岐にわたります。これだけの工程を自社だけですべて対応するためには、本来の業務に支障をきたす可能性も。
また、どれだけ技術が向上したとはいえ、スマートフォンで撮影した映像や無料の編集ソフトで編集した動画のクオリティには限界があります。企業として活用する動画コンテンツを制作するためには、実績が豊富な映像制作会社に依頼することをおすすめします。
動画制作の実績が豊富な映像制作会社であれば、撮影技術や編集技術に信頼をおけるだけでなく、ターゲットに刺さる動画構成などを考慮したうえで、企画や構成を作成することが可能です。初めて動画制作をする企業様や本格的に動画マーケティングを実践したい企業様は、ぜひ一度JPCへご相談ください。
4.手戻り・撮影後の修正が発生しないよう注意する
プロの映像制作会社に依頼するときは、手戻りや撮影後の修正が発生しないよう注意してください。
たとえば絵コンテをもとに撮影したにもかかわらず、編集段階で別シーンの撮影を依頼するとなれば、別途撮影費用がかかります。動画コンテンツは文章・画像コンテンツと比べて修正にも手間がかかるため、費用も高額になりやすいです。
手戻りや撮影後の修正を防ぐためには、絵コンテや企画を作成する段階から映像制作会社と密にコミュニケーションを取ることが重要です。
まとめ
動画コンテンツには「実写」と「アニメーション」の2種類がありますが、どちらも企画・構成(絵コンテ)〜素材集め〜編集という流れを辿ります。動画制作をスムーズに進めるためには、企画力とあわせて進行管理能力の高さも重要になるため、動画制作の実績が豊富な映像制作会社に依頼することをおすすめします。
JPCは東京・京都の二拠点体制で、映像制作に関係するあらゆる業務をワンストップで対応している映像制作会社です。撮影・収録スタジオを自社に完備しており、ドローン撮影やロケ撮影にも対応。3DCGやVFXなどの高度な編集技術にも精通しているため、イメージに沿った動画を制作いたします。
テレビCMやプロモーション動画・ブランディング動画など、さまざまなジャンルでの制作実績も豊富にございますので、動画制作を検討している方は、ぜひ一度JPCへご相談ください。