2024.05.20
コーポレートサイトの役割や目的とは?必要なコンテンツも徹底解説
コーポレートサイトは会社の顔ともいえる存在であるため、デザインや掲載しているコンテンツが会社の第一印象を左右するといっても過言ではありません。
以前は一つのWebサイトであらゆる情報を発信するケースが一般的でしたが、昨今は目的別に複数のサイトを運用している企業も少なくありません。たとえば、コーポレートサイト以外のサイトとしては、採用サイトやECサイト、IRサイト、サービスサイトなどが挙げられます。
このような目的別のサイトが存在するなかで、コーポレートサイトはどのような目的で制作すべきなのでしょうか。
この記事では、Web制作会社の視点からコーポレートサイトの役割や重要性をご紹介。コーポレートサイトに掲載すべきコンテンツや制作費用の相場、手順などについても詳しく解説しています。コーポレートサイトの制作を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
コーポレートサイト・企業サイトとは
実は、コーポレートサイト(企業サイト)であるための明確な定義はありません。一般的には、顧客や取引先はもちろん、求職者や投資家などのあらゆるステークホルダーに対し、企業として伝えるべき情報を掲載したサイトのことを「コーポレートサイト」と呼ぶことが多いです。
この企業として伝えるべき情報には、会社概要や事業内容、経営理念、ニュースリリースなどがあります。
コーポレートサイト・企業サイトの役割とは?
コーポレートサイトの役割として第一に挙げられるのは、企業としての公式情報を発信することです。たとえば、新製品・新サービスのリリース、役員人事、クレーム・トラブルに対する声明などが挙げられます。
会社としての公式情報をあらゆるステークホルダーに対して開示することで、信頼性の向上や透明性のアピールなどにつながります。また、トラブルが発生した際などは、コーポレートサイトで公式の声明をリリースすることで、ステークホルダーを安心させる役割も果たします。
そもそもコーポレートサイトと他のホームページの役割の違いは?
コーポレートサイト以外のWebサイトが持つ役割や掲載すべき情報としては、次のような例が挙げられます。
種類 | 目的 | 掲載情報 |
---|---|---|
サービスサイト | 顧客・取引先への情報提供 リード獲得 | サービス・製品の詳細情報、 導入事例、料金プランなど |
ECサイト | 新規顧客の獲得 売上機会の増加 決済 | 商品情報、購入方法、 決済、配送情報など |
採用サイト | 求人募集 | 募集職種、福利厚生など |
オウンドメディア | ステークホルダーに 役立つ情報を幅広く提供 | 各種記事 |
ブランドサイト | 特定のブランドに 絞った情報発信 | ブランドストーリー、商品紹介など |
そもそも以前は、これらの情報がすべてコーポレートサイトに集約されていました。しかし、インターネット上に情報が溢れ、Googleなどの検索エンジンのアルゴリズムが発展したことに伴い、ターゲット別(ニーズ別)に情報を出し分けることが重視されるように。その結果、目的別にWebサイトが作られるようになったのです。
とはいえ、コーポレートサイトが独立していないケースも多く、サービスサイトやブランドサイト、ECサイトなどと兼用されていることも少なくありません。
一方で、オウンドメディアや採用サイトなど、より明確な目的や用途を持つサイトは、コーポレートサイトと分けて運用されることが多いです。
信頼性を向上させる
目的別のWebサイトが数多く存在する中でもコーポレートサイトを制作しておくべき理由の一つに、信頼性があります。
たとえば、ECサイトやサービスサイトで気になる商品を見つけたとしても、どのような会社が提供しているのかがわからなければ、購入を躊躇ってしまうかもしれません。本当に信頼できる企業なのかを知りたいと思った際、コーポレートを閲覧するユーザーは多いでしょう。
沿革や代表挨拶などのコンテンツがあり、しっかりとしたデザインで作られたコーポレートサイトであれば、ユーザーに信頼感を与えることができるため、商品の購入にもつながりやすくなります。
ユーザーの利便性を高める
コーポレートサイトは企業に関するあらゆる情報を一元的に提供できるため、ユーザーの利便性を高める効果もあります。
たとえば、求職者が採用サイトからの応募を検討している場合、その企業がどういった事業を展開しているのか、どういった商品・サービスを扱っているのかなどを知るために、「会社名」で検索することが多いでしょう。
そこで表示されたコーポレートサイトからサービスサイトやECサイト、ブランドサイトなどに遷移できるようにしておけば、求職者が知りたい情報をすぐに知ることができる、利便性の高いサイトとなります。
このように、目的やターゲット別にWebサイトが制作されているからこそ、それらの情報を集約し、知りたい情報にすぐにアクセスできるような構造にしておくことが重要になります。
目的別サイトのSEO評価を高める
また、コーポレートサイトの内容を充実させることは、サービスサイトやオウンドメディアなど、目的別サイトのSEO評価を高める効果もあります。
SEOとは
SEOとは、「Search Engine Optimization」の略称。「検索エンジン最適化」と訳されるとおり、Webコンテンツを検索エンジンから評価されやすいように調整することを指す。
昨今のSEOでは、情報発信者の信頼性も重視されます。目的別サイトのSEO評価を高めるためには、コーポレートサイトをしっかりと制作し、Googleなどの検索エンジンに、信頼できる会社から発信された情報だと判断してもらう必要があるのです。
効果的なコーポレートサイトを制作するための4つのポイント
コーポレートサイトを制作する目的を達成し、求める成果を得るためには、次の4つのポイントを意識することが重要です。
- 役割を決める
- メインターゲットを決める
- SEOなどの流入施策を検討する
- コンテンツを決める
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
1.コーポレートサイトの役割を決める
コーポレートサイトの役割は企業の信頼性を高めることだとお話しましたが、サイト制作時にはさらに細分化した役割を決めてみてください。
たとえば、「ブランディングを強化する」という目的でコーポレートサイトを制作する場合は、他の目的別サイトのデザインと統一するといいでしょう。デザインに一貫性を持たせることでブランドイメージが確立され、ユーザーに強い印象を残せるようになります。
目的が「見込み客を獲得する」などの場合は、代表挨拶など、顧客へのメッセージをメインのコンテンツとするのがいいでしょう。どのような想いで事業を展開し、どのような強みがあるのかを代表自らの言葉で発信することで、ユーザーの感情に訴えやすくなり、競合他社との差別化に効果を発揮します。
また、「最新情報をステークホルダーへ届ける」ことが目的であれば、広報担当者が簡単に記事を投稿できるようにWordPressで制作するなど、機能面にもこだわることをおすすめします。
2.コーポレートサイトのメインターゲットを決める
コーポレートサイトを制作する際は、メインターゲットを決めることも重要なポイントになります。汎用的なサイトであるとはいえ、もっともメインとなる層に向けた設計にすることで、よりターゲットに刺さる効果的なコーポレートサイトとなるのです。
コーポレートサイトのターゲット
記事前半でも言及しましたが、コーポレートサイトのターゲットはさまざまで、求める情報も異なります。下記の表はその一例です。
ターゲット | 求める情報 |
---|---|
顧客 | 製品情報・サポート情報など |
取引先 | 設備状況・コンプライアンス情報・ISO認証など |
求職者 | 成長性・安定性など |
投資家 | 財務情報・経営戦略ななど |
そもそも企業には顧客をはじめ、取引先や従業員、投資家、役所など、多くのステークホルダーが存在します。
企業に関する情報を知りたいと思った際、多くのステークホルダーは会社名で検索するため、必然的にコーポレートサイトが検索結果に表示されます。コーポレートサイトであるからには、このような場面ですべてのステークホルダーが求める情報を提供できるよう、情報を一元的に掲載しておかなければなりません。
とはいえ、異なる目的を持ったステークホルダーは、コーポレートサイトにアクセスする頻度もさまざま。最も情報を届けたいステークホルダーは誰なのか、メインターゲットを定め、そのターゲットに向けた設計にすることが重要です。
たとえば、顧客からのアクセスをメインとするコーポレートサイトであれば、FAQやカスタマーサポートの連絡先、マニュアルなどをメインメニューに設置し、IR情報や採用情報はフッターメニューから目的別サイトに遷移させる構成でもいいでしょう。
3.必要に応じてSEOなどの流入施策を検討する
検索エンジンからコーポレートサイトに流入させる場合、ユーザーの検索意図としては、主に次の2通りが考えられます。
種類 | 概要 | 例 |
---|---|---|
指名検索 | 企業名・サービス名など | 株式会社ジェー・ピー・シー 動画制作 費用 JPC JPC ホームページ制作 |
一般検索 | 指名検索以外 | 京都 動画制作 コーポレートサイト 重要性 |
「指名検索」とは、企業名やサービス名などをそのまま検索する方法のこと。この場合、ユーザーが見たいサイトはすでに決まっているため、SEO対策をする必要はほぼないといえるでしょう。
たとえば、「動画制作 費用 JPC」「JPC ホームページ制作」と検索するユーザーは、株式会社JPC(当社)の情報を求めており、「当社のサイトを見たい」という目的がはっきりとしているため、わざわざSEO対策をせずとも当社のサイトへ流入します。
一方で、指名検索以外の検索は「一般検索」と呼ばれています。たとえば、「京都 動画制作」と検索するユーザーは、京都の動画制作会社を探しているものの、どの会社に依頼するのかをまだ決めておらず、迷っている段階だと考えられるでしょう。こういったユーザーに当社のサイトに流入してもらうためには、「京都 動画制作」と検索した際に検索結果画面の上位に表示されるよう、SEO対策を施す必要があるのです。
テレビCMや広告などで社名やサービス名の認知を拡大し、指名検索を増やしていく戦略であれば、必ずしもSEO対策にこだわる必要はありません。しかし、広告費用などをなるべくかけず、純粋な検索ユーザーを獲得していきたい場合は、コーポレートサイトであってもSEO対策にこだわることをおすすめします。
4.コーポレートサイトのコンテンツを決める
コーポレートサイトは、企業にまつわる情報を一元的に掲載することが望ましいとお話しました。しかし、どのような情報をメインコンテンツにするのかは、企業ごとの戦略やホームページの運営方針によって異なります。コーポレートサイトの制作を始める前に、掲載すべきコンテンツを洗い出しておきましょう。
コーポレートサイトの目的ごとに必要なコンテンツ
コーポレートサイトの目的によって必要になるコンテンツは異なりますが、どのような目的の場合であっても、トップページには次のコンテンツを掲載しておくことが望ましいです。
- お知らせ・ニュースリリース(プレスリリース)
- 会社のコア事業(複数ある場合は列挙)
下層ページで最低限用意すべきコンテンツとしては、次のような例が挙げられます。
要素 | コンテンツ例 |
---|---|
企業情報 | 企業概要 代表挨拶 企業理念 沿革 組織図 MVV(ミッション・ビジョン・バリュー) アクセス |
お知らせ | 営業日 プレスリリース(ニュースリリース) |
事業内容(サービス内容) | 事業部紹介 事業相関図 提供サービス |
問い合わせ | お問い合わせフォーム 資料請求フォーム |
その他 | プライバシーポリシー 免責事項 |
集客目的のコーポレートサイトの場合は、上記にあわせて次のようなコンテンツも求められます。
- 製品・サービス一覧
- 製品・サービスの詳細ページ
- 導入事例・成功事例
- FAQ(よくある質問)
- カスタマーサポートの連絡先
- デジタルカタログ
- セミナー・ウェビナー情報
また、コンバージョンポイントとして次のフォームを用意しておくといいでしょう。
- ホワイトペーパーダウンロードフォーム
- 無料相談・デモ申し込みフォーム
ブランディング目的のコーポレートサイトの場合は、次のようなコンテンツを追加することをおすすめします。
- ブランドアイデンティティ
- 受賞歴
- メディア掲載実績
「コーポレートサイト兼集客用サイト」や「コーポレートサイト兼ブランドサイト」など、兼用して運用していく場合は、上記で列挙した情報をさらに分かりやすく構成する必要があります。
IRサイトや採用サイト、ECサイト、オウンドメディアなど、目的別のWebサイトを運用している場合は、コーポレートサイトから各サイトへと遷移できる導線を設置しなければなりません。
コーポレートサイトはこれだけ多くの情報が掲載されたサイトでありながら、ユーザーが欲しい情報にすぐに辿り着ける設計にする必要があります。それぞれの情報を正しく階層化したうえでサイトを構築していくことは、SEO対策においても重要になります。
とはいえ、これらの情報を整理したうえでサイトを設計、制作するのは簡単ではありません。ユーザーにとってわかりやすく、かつ効果の得られるコーポレートサイトを制作したい場合は、制作実績が豊富なWeb制作会社に相談することをおすすめします。
コーポレートサイトの役割検討後に行うこと
コーポレートサイトの制作は単純ではないため、一つのプロジェクトとしてマネジメントしなければなりません。そのため、「会社の看板」や「ブランディング」、「集客」などの役割をコーポレートサイトに持たせたい場合は、次の2点を確認したうえでWeb制作会社へ相談してみてください。
- 費用相場と予算を決める
- コーポレートサイトの制作手順を把握する
それぞれ詳しく解説します。
費用相場と予算を決める
企業活動の一環としてコーポレートサイトを制作するわけですから、当然予算を決めなくてはなりません。しかし、コーポレートサイトの制作にはさまざまな要素が絡むため、費用を抑えようとすれば0〜10万程度で制作することも可能ですし、機能やデザインにこだわれば100万〜300万円になる可能性もあります。予算策定時は、次の相場表を参考にしてみてください。
費用 | 概要 | 発注先 |
---|---|---|
~10万円 | 写真撮影やテキスト作成は自社での対応も必要 機能は必要最低限 ページ数は5ページ未満無料テンプレートを利用 | フリーランス 個人運営の制作会社 |
10万円~50万円 | ライティングや写真撮影を依頼できる場合もある ページ数は10ページ未満 テンプレートを利用 | フリーランス 中小制作会社 |
50万円~100万円 | デザインまで依頼可能 ページ数は20ページ未満 | 中小制作会社 |
100万円~300万円 | システム開発費用やテスト費用が含まれることもある ページ数は目的に応じて変動(大規模サイト向け) | 中小制作会社 大手制作会社 |
Web上での名刺代わりにコーポレートサイトが存在していればいい、などといった最低限の機能で問題ない場合は、1ページ〜3ページ程度のコーポレートサイトを数万円でフリーランスへ依頼してもいいでしょう。ただし、このような簡単なサイトでは指名検索での流入しか見込めないため、集客するためには別途広告を出稿しなければなりません。
検索流入を獲得できるようなコーポレートサイトを制作したい場合、最低でも10万〜50万、可能であれば50万〜100万の予算が必要です。たとえば、WordPressなどのCMSで制作し、コーポレートサイト制作後も社内でコンテンツを追加できるようにしておけば、長期的なアクセス数の増加が期待できるでしょう。
機能やデザインにこだわり、ページ数が20ページを超えるような場合には、100万円〜300万円は予算を確保しておきたいところ。100万円以上の予算を確保すれば、マーケティングに精通したWeb制作会社にサイト設計を任せることも可能です。
CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)
サイトのコンテンツ(文章・画像・デザインなど)を一元管理するシステムのこと。コーポレートサイトの管理が容易になり、HTMLやCSSなどの知識がなくてもページの追加・編集などが可能になる。
オープンソース型の代表例としてはWordPress・Drupal・Joomla!など、クラウド型の代表例としてはWix・STUDIOなどが挙げられる。
コーポレートサイトの制作手順を把握する
コーポレートサイトの制作手順に決まりはありません。しかしスムーズに制作を進めるためには、ここまで紹介してきたポイントを含め、次のような流れで進めるといいでしょう。
- 目的・役割を決める
- ターゲットを決める
- 掲載情報を洗い出す
- 予算を決める
- 機能を決める
- ワイヤーフレームを制作する
- デザインを決める
- サイトを制作する
まずは、コーポレートサイトの目的・役割を決め、主たるターゲットを設定しましょう。コーポレートサイトの役割やターゲットにあわせて必要なコンテンツを洗い出し、制作にかけられる予算を策定します。この1〜4までのステップは、自社内だけで検討して問題ありません。
5の機能を決めるステップ以降は、Webサイトにまつわる専門知識が必要になるため、コーポレートサイトの制作実績が豊富なWeb制作会社と相談しながら進めることをおすすめします。実績が豊富な制作会社であれば、コーポレートサイトの運用方法に適した機能を提案してくれるでしょう。
サイト全体の設計図であるワイヤーフレームは、洗い出した掲載コンテンツをコーポレートサイトの目的にあわせてどのような構成にしていくのか、トップページにどのようにレイアウトするのかなどを考えながら作成します。この工程もWebサイト制作のプロであるWeb制作会社に依頼することで、ユーザーにとってわかりやすく、かつ効果的なコーポレートサイトになることが期待できます。
ワイヤーフレーム完成後はデザインを決め、コーポレートサイト制作に移行します。確定したデザインをWeb上に表示するコーディングという作業に進むため、修正がある場合はデザイン段階で伝えておきましょう。
まとめ
現代社会は誰もがWebを活用する時代であるため、どのような業種・業態であっても社名で検索される可能性があります。Web上に情報がなければステークホルダーを不安にさせてしまう可能性もあるため、BtoB・BtoCを問わず「会社の顔」であるコーポレートサイトの制作は必須であるといえるでしょう。
また、会社の公式情報を発信することがコーポレートサイトの主たる目的ですが、集客目的やブランディング目的を兼ねるケースも少なくありません。サイトの目的や運用方法によって最適な構成は異なるため、コーポレートサイトの制作実績が豊富なWeb制作会社に相談するといいでしょう。
当社はマーケティングにも精通したWeb制作会社として、コーポレートサイト制作にも多数携わってきました。コーポレートサイトの新規立ち上げを考えている方はもちろん、フルリニューアルを検討している方までお気軽にご相談ください。